こんにちは、七実(@dvanchangos)です。
雑誌で見た「オベリスク」がどうしてもどうしても気になってしまって、南アルプス鳳凰三山まで単独で乗り込んだのが2016年。私にとって初めてのアルプス登山でした。
その時、地蔵岳までの稜線でずーっと左手側に見えていた、やたらと存在感のあるどっしりとした山容。
そう、日本で富士山に次ぐ第二位の標高をもつ、「北岳」です。
「いつか、あの山に登りたいな。」
その時、私の次の大きな目標ができたのでした。
あれから2年。
ついに時は来た!
憧れの山、北岳でテント泊をすることに決めました。
この山行は、今までの登山経験でも最大のチャレンジでした。
他の登山者からしたら、そんなことはないと思いますが、運動経験も体力も人並みの私にとってはものすごく大きな挑戦だったんです。
わたしの中で幾度も幾度もめまぐるしく感情が移り変わりました。
高揚、反省、感動、苦悶、安堵、感謝・・・
そんな濃厚な自分との対話をした2日間の記録です。(大袈裟!)
【山行前日】七実、いきなりやらかす。
甲府駅まで新宿を経由し、高速バスで移動しました。
新宿までのバスの中で、重大な忘れ物に気づきました。
わたくし、登山に登山靴を忘れたのは人生で初めてです。
日帰りなら履いていくので忘れるわけがないんですが、この日は甲府のホテルで1泊予定。
ザックやほかの荷物もキャリーカートに積んで、身軽にサンダルを履いて移動していたのでしばらく靴を忘れたことに気がつきませんでした。
幸いにも経由地新宿には登山用品のレンタルショップがあったので、ダッシュで駆け込み、登山靴を調達しました。
「やまどうぐレンタル屋」様、本当にありがとうございました!
ちなみに返却は配送でいいので、店舗に返しに行かなくてもいいんです。便利ですね。
登山靴をレンタルすると、ソックスがプレゼントで付いてきました。
レンタル品は種類があまり多くないので、好きなブランドが選べるわけではないですが、サイズは豊富でしたよ。
私は、グリスポーツの登山靴にしました。底がなるべく固くて滑りにくそうなソールのものを選びましたが、いつも私が愛用しているASOLOのソールに比べると薄いです。そのぶん軽いので、歩きやすい気もしますがどうだろう。
いや、行くしかない!これで北岳登ってみます!
そんなアクシデントもありつつ、甲府駅に到着。
武田信玄公でかいっ!
明日に備えて甲府名物ほうとうをお腹いっぱい食べました。
山行データ
登山日 2018年8月17日~18日
メンバー:七実(ソロ)
天気 1日目:快晴 2日目:くもりのち晴れ
最高気温(甲府市)1日目:29.9℃ 2日目:30.6℃
最低気温(甲府市)1日目:21.7℃ 2日目:15.7℃
ちなみに3,000mまで高度を上げると真夏でもだいたい8~10℃です。寒い!
山行時間(1日目)
始発のバスで広河原へ。時間にはかなり余裕があります。
とにかく肩の小屋まで歩ききることが目標だったので、序盤からゆっくりゆっくりを心がけました。
ルート地図(1日目)
広河原から、白根御池小屋を経由するコースです。
北岳までのコースは、もうひとつの大樺沢コースがありますが、こちらのルートを選んだのは、リスク回避のためです。
もし、天候の悪化や、本当に体力に限界が来てしまった時は、肩の小屋まで登るのを諦め、中腹の白根御池小屋のキャンプ場でテン泊しようと思いました。
それと、白根御池小屋には食事メニューや売店があるので休憩にもいいと思ったからです。
また、大樺沢の左俣コースは八本歯のコルまでの連続したハシゴ場があり、重いザックで疲労がたまっていたら危険なので回避しました。
テン泊装備の重みにも慣れておらず、体力に自信があるわけでもない私が導き出した、一番安全に北岳の山頂まで到達して帰ってくるための初心者向け最良ルートです。
持ち物
テント、シュラフ、マット、ライト、サンダル、グラウンドシート、水滴拭きミトン
トレッキングポール、スマホ三脚、ヘッドランプ、エマージェンシーキット、ファーストエイドキット、バッテリー、エコバッグ、サンダル、カップ
着替え、ダウンジャケット、レインウェア、グローブ、ニット帽、ゲイター
ストーブ、燃料、コッヘル、カトラリー、保冷ボトル
食料(乾燥パスタ、パスタソース、カップラーメン、カップごはん)
行動食(ゼリー飲料、ナッツ&フルーツ、1本満足バー)
お酒&おつまみ、信玄餅、インスタントコーヒー、アミノ酸ドリンク
サコッシュ、財布、保険証、サングラス、日焼け止め、虫除けミスト、日焼け止めパウダー、リップ、メイク用品、ボディシート、顔用シート、タオル、歯ブラシ
オトモのうしさんとかえるさん
【1日目】甲府駅~広河原~白根御池小屋
甲府駅から登山口の広河原までのバスに乗ります。
始発は4:35。片道2,050円です。
まだ真っ暗なのに、甲府駅前のバスターミナルにだけこんなに行列が。
バスは2台来ました。行列の後ろの方だと座れない人もいます。かなり早くから並んでいたほうがいいです。私は30分前くらいに並んで、無事座席に座れました。
広河原までは山道を登り、1時間50分くらいかかります。乗客はほとんど熟睡です。
私も、( ˘ω˘ ) スヤァ…
最近は新宿から広河原までの直通バスができたこともあって、甲府駅から広河原までのバスの乗車人数が減少しているとのこと。
そのため、以前は並んでいる人数をあらかじめ計測して、バスを増発し全員乗れるようにしていたのですが、今はあらかじめ決まった台数しか出さなくなったので、バスに乗れない人がいる日もあるそうです。
ハイシーズンの混み合いそうな土日は、かなり早くから並んでおいたほうが良さそうですね。
野呂川広河原インフォメーションセンターへ到着です。
ここから、野呂川を渡り、登山道へ入っていきます。
吊り橋を渡ります。
吊り橋の先が広河原山荘です。水場があるので、ここで水を調達していきます。
目指す北岳はあの先!気合入れて登り始めます。
広河原山荘からの登山道は、木の根の生い茂る林道です。だんだん傾斜が出てきて最初からきつーい!
黙々と、黙々と登り続けます。
2時間ほどでトラバースとなり、傾斜があまりなくなります。
木道があったり。
小さな滝があったり。
看板を発見!20分って微妙に長い…。
看板から20分、白根御池小屋に到着です。看板は正しかった。
新しい小屋で、中もトイレもすごくキレイでした。
日陰で休憩~。ここでテントを張っている人もたくさんいましたよ。
ここまで約3時間。標準コースタイムよりも30分ほど多くかかりましたが、無事に到着できました。
ここから肩の小屋までは標準コースタイムでさらに3時間です。
心配だった脚の疲労も、まだ大丈夫そうです。天気も崩れる気配が一切ありません。
私はここで、肩の小屋まで行くことに決めました!
白根御池小屋~草すべり~北岳肩の小屋
白根御池小屋で30分ほど休憩し、肩の小屋へ向けて出発しました。
白根御池、濁ってる…。
ここから大樺沢二俣までのコースへも行けます。
私は右の肩の小屋へ。
レンタル靴はやっぱりソールが柔らかくて、足の裏に石を感じます。やっぱりいつもの登山靴がよかったなぁ。
さて、ここからが正念場なのです。
白根御池小屋から稜線に出るまでの長い急登!「草すべり」と呼ばれています。
腰から頭くらいの草地の中を、直登に近い小さなつづら折りを繰り返して高度を上げていきます。たまに振り返ると、眼下に見える白根御池がだんだん小さくなっていき、登ってきた高さを実感します。
きつかったですが、ここで得意の集中力を発揮しました。
「ゆっくり…ゆっくり…」と頭の中で繰り返しながら、息を乱さないくらいのペースでとにかく止まらずに進み続けることだけに集中…
すると、気の遠くなるような長い急登を、いつの間にか登りきっていたんです!いつもはペース乱れまくりでしたが、自分に合ったペースのコツがつかめた感じがします。
気づけば展望も開けてきました!
二股の分岐に到着。稜線まではもう少し。ただし、ここからはがっつり直登(;´д`)
このあたりが一番傾斜がきつかったです。集中力も切れかかり、カロリー不足でバテバテ…。
それでもなんとか稜線まで出ましたー!
ここが急登の終わりを告げる、小太郎尾根との分岐地点です!
そして、南アルプスの大展望が出現!!
遠くに、富士山が!/^o^\フッジッサーン
小太郎尾根の先に白くとんがった山、甲斐駒ケ岳です。
甲斐駒ケ岳の左側に目をやると、仙丈ヶ岳!
北岳 小太郎尾根分岐からの展望( ˇωˇ )
富士山、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳と、北岳山頂までの稜線✨ pic.twitter.com/6iEsHTK6Hy— 七実@うしとかえると山登り。 (@dvanchangos) 2018年9月2日
ここから30分稜線を歩くと、ついに肩の小屋です!もうちょっとだ!
あとちょっとで、まさかのシャリバテ。
なんだかおかしい。
もうすこしで肩の小屋なのに。
大展望に囲まれてウキウキ稜線歩きなのに。
ここへ来て、
まっっっったく足が前に出なくなりました。
なんでなんで?気合が足りないの?なんて思いましたが、
完全にシャリバテです。
シャリバテ
飯が足りずにバテること。ハンガーノック状態。空腹で登山を続けると、血糖値が下がり、疲労感、ふらつき、足がつる、頭痛などの症状が出る。
頭ははっきりしているのに体がいうことをきかない状態になる。
もちろん、食べれば治る。
急登での集中力が逆に仇となったようで…
3時間も行動食を食べずに、水分とちょっとのゼリー飲料だけで登っていたことにやっと気づく…。
しかも、持ってきた行動食の量が全然足りないΣ(゚д゚lll)
白根御池小屋では行動食になるパンやお菓子を売っていたんですが、肩の小屋にはそういったものを売っているのかわかりませんでした。
もし肩の小屋で行動食が調達できなかったら、二日目の下りの行動食がなくなってしまうリスクがあったので、とりあえず少しだけ食べて、肩の小屋まで行くことにしました。
肩の小屋までの30分が死ぬほど長かったです。
あんなに長かった草すべりの急登よりも、シャリバテして歩く方がよっぽど辛い!゚((つД`)゜
心の中で泣きべそかきながら、やっと、やっと、「北岳 肩の小屋」にたどり着くことができました。
こうして、いろいろあったものの、1日目に目標の肩の小屋まで到着することができました。
肩の小屋でのテント泊と山頂アタックは、後編に続きます。