こんにちは。七実です。
ちきりんさんの『自分の時間を取り戻そう』を読みました。
この本では、自分の時間をつくるための本当の意味での「生産性」の考え方がわかりやすく書かれています。説明文はこんな感じです。
仕事よりも、自分優先で生きる方法を教えます!
残業ばかりで限界の管理職、正樹。
家庭と仕事の両立に悩む母親、ケイコ。
働きづめのフリーランス、陽子。
会社が伸び悩んできた起業家、勇二。多忙で余裕のない4人の物語からわかる「忙しさの本質」と「日本で働く人たちの問題点」とは?
そして今、世界中で進みつつある「大きな変化」とは?
2つの視点から明らかになる、1つの重要な概念と方法論。超人気“社会派ブロガー”が「現代を生きぬくための根幹の能力」を解説する、大好評シリーズ第3弾!
世間では、ブラック企業が低賃金で過度な残業をさせることが問題にされていますよね。
わたしは、この間までコールセンターで働いていました。5年間で派遣社員から正社員まで一通り経験したのち、移住を理由にスパっとやめたわけですが、さいわいブラック企業ではありませんでした。
しかし、残業は毎日ありましたし、有給もろくに取れていなかったです。問題ごとは精神論でなんとかしろという社風でした。
この本を読んで、前職場で感じていた違和感をハッキリ理解できたように思います。感銘を受けたところを少しだけ紹介していきますね。
1.生産性をあげる=「体を早く動かすこと」ではない
「生産性」というキーワードは、前職場でも声高に叫ばれていました。
しかし、「生産性」の本当の意味を理解していないと、間違った方向に頑張ってしまいます。
多くの人は、仕事量が多ければ、そのぶん時間を追加して終わらせようとします。つまり、残業がどんどん増えていくことになります。
けれども、残業をいくらしてでも仕事を多くこなすことが生産性ではありません。
逆に残業することで、可視化することが難しいけれど貴重である「自分の時間」を奪われていることに気づかなければいけません。
生産性を上げることの本当の意味は、「短い時間で終わらせ、残りの時間をゆとりを持って過ごすこと」です。
前職場の問題点
・給与体系がそもそも残業ありきだった。
正社員といえど、固定給はとても低かったです。生活するには残業代が必要でした。
・精神論を説き、マンパワーで解決しようとする
もっとがんばれ、これができたんだからもう少しがんばればもっとできるはずだ、では、人間いつか限界が来ますよね。
・生産性の高い人には余計に仕事が降ってくる
生産性を上げれば上げるほど、ほかの仕事が降ってくるため、「生産性を上げたら損をする」という考え方が蔓延していました。「今いる組織への最適化」を目指し「労働市場での評価を上げること」を考えられない残念な思考であるといえます。
2.社会は「高生産性シフト」へ
これからは、生産性を上げる仕組みやシステムが評価される時代になるといいます。
人工知能とロボットが未来の人の仕事を奪っていき、近い将来人工知能が人間全体の能力を超える「シンギュラリティ」と呼ばれる転換点がやって来ると言われています。
自己の生産性を高めるための技術やサービスを活用できる人は生き残り、生産性の低いままの人間はキカイに職を奪われる時代になるというのです。
だったら、今すぐに自分を「高生産性シフト」していかなければいけませんね。
コンピューターを使えば数分でできることを数時間かけて手作業でやっている人は単に生産性が低いだけです。しかし、額に汗して何時間も必死で手作業を続ける人のほうがエライ(あるべき姿)と思われるような環境下で長く過ごしてしまうと、生産性の重要さはなかなか理解できません。
「一生懸命頑張る」のは悪くありませんが、「頑張らなくても高い成果が出せる方法を考えつく方がすばらしい」ということをしっかり理解すべきでしょう。毎日2キロ離れた井戸まで水を汲みに行く途上国の子供たちを見たとき、「一生懸命働いていてエライ!」と褒めるより、「蛇口をひねればすぐに水が出る環境を整えるべき」と考える方が、よほどまともなのです。
人間は毎日睡眠をとらなければいけませんし、常にフルの思考で仕事をすることはできません。
ならば、ひとりの生産性を上げるためには、コンピューターを活用して生産性を上げる仕組みを作っていかなければいけないということになりますね。
前職場の問題点
・ヒューマンエラーへの対策が「もっと気を付けよう」ではいつまでたってもミスは減らない。
コールセンターのクライアント(依頼した会社)は、何かミスが起きると改善策を出せと言ってきましたが、そもそも独自システムが穴だらけでした。
事務作業での入力ミスを減らすためにシステムの改善を何度か提案しましたが、システムは使いづらいまま変わりませんでした。
そうすると、ミス再発防止策は「一人ひとりがもっと注意を払って作業する」。ということになりますが、どんなに完璧な人間でも必ずミスをするもの。一向にミスは減らず、効率も上がりませんでした。
クライアントには、「生産性を上げる仕組みやシステム」を考えることはよほど面倒なことだったのでしょうね。問題はベンダー(請け負う会社)に押し付けて一番大事なことをやりたがりませんでした。
3.本当に自分が手に入れたいモノはなにか
生産性を上げる方法は、「時間を減らすこと」から始まります。
仕事が多過ぎるなら、自分にとって価値の低い仕事から手放して本当にやるべき仕事を絞る。より効率的になる方法、システムを取り入れる。そうやって生産性の高い仕事をすればそのぶん自分の時間が増えます。
そして、得た自分の時間は、今自分が手に入れたいモノのために惜しみなく使うこと。
大切なことは、「今、自分が手に入れたいモノを手に入れるための、もっとも生産性の高い方法はなんなのか?」を問い続けることだと言っています。
ただなんとなく過ごすだけでは、自分の時間を手に入れることは出来ないです。
私の場合、登山をするために平日の休みや連休が欲しかったけれど、人に気を使ってだんだん休みが取りづらくなっていったような気がします。本末転倒ですよね。
4.おわりに
わたしも会社を辞めてから、働き方や生き方を考える時間が多くありました。
ちきりんさんの言っていることに共感し、前の会社で働いていた時に感じていた違和感がはっきりしました。けれども、前職場で私がこの本のように生産性を上げることはできないでしょう。問題点も利害関係も複雑だったからです。
だからといって、このままでは仕事のデキる人間から新たな労働市場へと流れていくことになるはずです。辞めた身だから言えることですけどね。
社会派ブロガーちきりんさんの名前は知っていましたが、とてもわかりやすく為になる本でした!この本は三部作の三冊目ということなので、残りの二冊も読んでみたいと思います。
それでは、ごきげんよう。