こんにちは、山女の七実(@dvanchangos)です。
先日Twitterで流れてきたこのツイート。
登山記録に書かれている、ライチョウの雛を捕まえて握り親を怒らせたというのが本当なら(動画もありますが…)これは大変な虐待行為ではないでしょうか。野生動物は一度人間の臭いのついた子どもは育てないと言われています。絶対に許されない行為です。https://t.co/cv9Mo8Itp8
— 雷鳥情報局 (@raicholove) 2018年7月8日
今月、北アルプスの唐松岳付近で撮影されたとみられる写真がSNSに投稿されました。
その写真には、雷鳥のヒナをグローブをはめた手で鷲掴みにしているところが写っていました。
次の写真には「ヒナを捕まえたら、雷鳥の親鳥に攻撃された」とのコメントが。
Twitterで拡散されると、この投稿者への批判が殺到し、現在はこの投稿は削除されています。
※「野生動物は人間の匂い臭のついた子どもは育てない」という説は信憑性がないので、後に訂正なさっています。
先日、北ア唐松岳付近でライチョウの雛を手に取った人がいたようです
近年、近寄りすぎてしまう登山者が多いと言われている中、ついに手を出してしまったかという感じです
ネットに掲載し、コメントの指摘に耳を貸さないという非常に悪質な行為です
人間が鳥達の脅威となることがあってはなりません pic.twitter.com/6GRZuHJ9N1
— う ち だ (@Climbing_Birder) 2018年7月8日
ライチョウの捕獲は、文化財保護法だけでなく、種の保存法と自然公園法も違法。
文化財保護法
・30万円以下の罰金
・5年以下の懲役または禁固刑種の保存法
・500万円以下の罰金
・5年以下の懲役自然公園法
・50万円以下の罰金
・6ヶ月以内の懲役 https://t.co/OYxVjYEQKg— りべる (@liber1025) 2018年7月8日
野鳥を捕獲するのは違法行為です。まして天然記念物のニホンライチョウを捕獲するのは、さらに悪質で法に触れる行為です。けして許されることではありません。
登山者のマナーとSNS
登山がブームとなり、登山者が増えたことで、山での迷惑行為、マナーの悪さがフォーカスされることも増えました。
植物を摘まない、動物を触ったり危害を加えない、ゴミは持ち帰る、食べ物や汁物を捨てないなど自然環境の害にならないよう1人ひとりがマナーを守るのは当たり前のことです。
守れない登山者は、聖域である山に登る資格はありません。
今回SNSに投稿したのは48歳の男性とのこと。登山経験も豊富なようですし、山のルールを知らないわけがないですよね。
では、なぜこのような行為をしたのか。
それは、「いいね!」欲しさです。
きっと、ただそれだけ。
登山中、目の前にライチョウのヒナがあらわれた。恐れずに近寄ってくるヒナ。
簡単に捕まえることができた可愛いヒナを見て、
「これはSNS映えする!いいねがたくさんもらえるぞ!」
そんな考えしかないのです。48歳の大人が。
天然記念物の生態に与える影響も、
それが法に触れる行為であることも、
拡散することのリスクも、
何も頭になく軽率に行動してしまう人間が、悲しいけどいるんです。
ライチョウを追いかけ回したり、登山道を踏み外したりして写真を撮り、SNSに投稿しても、内輪なコミュニティの中だけだと「イイネ」がたくさん集まったりする。
行動や思考・判断に偏りが生まれやすいし、自分自身が偏っていることに気付きにくいのが、SNS登山時代の負の側面だと思っています。— 野中径隆 MichitakaNonaka(Nature Guide LIS) (@natureguidelis) 2018年7月9日
登山者の一人として、私ができることは
私自身、Twitterやヤマップなどで、誰かの投稿に気軽に「いいね!」をすることが多いです。
綺麗な山の写真が投稿されていたら、反射的にいいね!してしまいがちですが、今回の件で、自分の「いいね!」が軽率かもしれないと反省しました。
あの問題の投稿にも、違法行為を指摘される前にたくさん「いいね!」が付いていました。
知り合いの投稿だからそれこそ反射的にいいねしただけかもしれません。ライチョウの写真は見ていないけどいいねしたかもしれません。でも、結局は違法行為にいいねしたのと同じことです。
自分がもし、投稿の全てを確認もせずにいいねした投稿が問題のある投稿だったら、知らずにそんな投稿を拡散していることになります。人差し指ひとつで拡散した投稿で、誰かに意図せず悪い影響を与えたり、私自身の人格を下げていることが有りうるのです。
気軽にできる「いいね!」ひとつにしても、大事なのは
一旦、しっかりと読み返してみて、
本当に評価できる内容の投稿なのか、拡散してもいいかを、多角的に考えること。
最近はデマを簡単に拡散してしまって大きな事件になることが多いですよね。無知ゆえに迷惑行為に加担してしまうことがないように、一人ひとりが気をつけなければいけませんね。
登山者として山のルールを守ることや、軽率な行動をしないことは当たり前として、SNSでの「いいね!」や拡散の危険性もよく考えてみるきっかけになりました。
それでは、ごきげんよう。